平成13年6月に世界初の脳保護剤であるラジカット(三菱ウエルファイド社製)が使用可能となった。これは脳梗塞になった場合に、梗塞巣の周囲でまだ生き残っている部分(ペナンブラという)を救う効果がある。発症24時間以内に使用しなければならないが、この薬剤を使用することにより後遺症が軽減することが証明されている。
当院でも急性期の脳梗塞にはラジカットを使用しています。
平成13年8月にトリプタン製剤である、イミグラン錠(グラクソウエルカム社製)とゾ-ミック錠(アストラゼネカ社製)が発売された。今までは、一般の鎮痛剤や、エルゴタミン製剤という鎮痛剤しかなかったが、セロトニン受容体作動薬であるトリプタン系薬剤は、効果発現も早く有効率も高く(15〜30分で効果発現し、約80%は有効)、片頭痛で悩んでいた患者の福音となるものと考えられる。イミグランの注射薬はあったのだが、病院にいかないと投与できないため需要は低かったが、経口剤となったために汎用されるものと考える。
当院ではイミグラン錠が処方できます。
突然の激しい頭痛と嘔吐で発症するくも膜下出血は、その原因の80%が脳動脈瘤の破裂による。この脳動脈瘤は成人の約5%に存在するとされ、現に脳ドックでの発見率は5%前後になっている。この破裂する前の未破裂脳動脈瘤に対して、破裂する可能性が高いので(年間約1〜2%)手術をした方がよいとする意見と、破裂する可能性は低いので(径が1cm以下では年間0.05%)治療は不要とする意見があり、決まった治療法はないのが現状である。今までは動脈瘤は開頭術にてクリップをかける手術が根治術であったが、最近は血管内手術というカテ-テルを使用した治療法が施行されている。動脈瘤に関しても、コイル(GDCコイル)を詰めて破裂を防止する手術が普及し、2000年には動脈瘤の根治術の約10%を占めるようになった。
脳に存在する血管の奇形が原因で出血して脳内出血を生じる場合がある。従来はこのような血管の奇形は手術で摘出するか、血管奇形を含んだ広い範囲に放射線をあてるような治療がなされてきた。最近では、血管奇形だけに放射線をあてることができる方法(これを定位放射線治療という)と装置(ガンマ-ナイフ、エックスナイフ、サイバ-ナイフ等)が開発され、安全に治療することができるようになってきた。また、血管奇形の部分に非常に細いカテ-テル(マイクロカテ-テル)を血管内で誘導し、そこから特殊な物質を注入して血管奇形を固まらせてしまう手技(塞栓術という)も広く行なわれるようになってきた。
近年、食事の西欧化が進み、脳卒中の原因として頸動脈(首に手をあてた時に触れる太い動脈)に病変が存在することが増加しています。これはコレステロ-ルに代表される脂質が血中に増加することにより誘発されると考えられています。頸動脈に狭窄(狭くなること)が存在した場合、その血管の壁についた脂質の塊を取り出して将来起こる脳卒中を予防する手術(内頚動脈内膜剥離術と言います)をしてきました。しかし、最近は血管内に入れたカテ-テルを使用して狭窄を改善する手術(血管内手術による内頚動脈拡張術)が開発されてきました。その際にはステントという金属でできた網状の中空の管を血管内に留置するのです。切らずになおすという概念が脳神経外科の世界にも広がりつつあります。
左:内頚動脈の狭窄がある
中央:矢印がステント
右:ステントを入れた後。内頚動脈の狭窄は改善している
左と右の写真はコンピュタ-処理で骨が消えて、血管内の造影剤だけが見えるようになっている